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模擬評議に参加して感じたこと

今回、裁判員制度が始まる前に、裁判員制度の模擬評議に参加できたことは、
今までほとんど関心がなかった裁判や法律に関心が持てて、
非常によかったと思っています。

模擬評議検察庁


わずか4時間という短い時間でしたが、、法廷での冒頭陳述から、証拠調べ、論告、
求刑、弁論、最終陳述までの「審理」を経て、最終的に裁判官(3名)と裁判員(6名)が、
「評議」を実施。有罪か無罪かを判断し、量刑を決めるまでを体験できました。

一般市民が裁判に参加するこの裁判員制度というシステムについて
思ったことがいくつかあるので、私個人の感想として書いてみます。


まず、国民の司法への関心が高まる
——この点に関しては、間違いなくメリットがあり、国民の関心は高まると思われます。
裁判がどのように進み、どのような審理を経たのちに判決が下るのか、
それを知ることは、国にとってマイナスになることはないでしょう。

あえて公にしていないのかもしれませんが、裁判員制度自体に
犯罪抑止力があるのではないかと思われます。
被告人を間近に見たり、実際の事件に触れることにより、
思わず背筋が伸びる裁判員は少なくないはずです。


一方、今回の模擬評議を経て感じた危惧は、一般人である裁判員が
有罪無罪だけでなく、量刑までをも決めなければいけない点についてです。

法廷での審理を通じて有罪か無罪かを判断するまではいいとしても、
量刑については過去の判例(判決の実例、裁判所が過去に示した判断)などに照らし合わせて
考える必要があり、素人が一朝一夕に判断できるものではないように感じました。


裁判員制度の趣旨のひとつには、「一般人の視点、感覚、言葉」を尊重する点にあります。
そういう意味では、自分の感覚、良心、道徳に照らし合わせれば、
被疑者が有罪か無罪かを判断することは不可能ではありません。

ただし、量刑についての一般人の感覚はあまりに広すぎる、というより、
量刑の感覚そのものを持ち合わせていない、といったほうが正しいかもしれない。

犯罪者の更生能力を信じる人もいれば、犯罪者に厳罰をのぞむ人もいるでしょう。
もちろん、裁判員制度は、それらの意見がバランスよく反映されるようにはなっているようですが、
その精度(正確性)を突きつめて考えると、裁判官3人、裁判員6人、計9人という人数は
あまりに少なすぎる
ように感じました。

たとえば、法律の専門家で「執行猶予つき」と「死刑」の判断で意見が分かれることは
まずないと思うのですが、一般人では、それが意見が分かれることもありえます。
(実際に模擬評議では意見が分かれました)

それは、一般人が判例を勘案せずに、感覚だけで判断するからでしょう。
それは前述した、裁判員制度の趣旨「一般人の視点、感覚、言葉」とは合致するものの、
果たしてそれでいいのだろうか? という疑問は残ります。

もちろん、だからといって裁判員が、あまりに判例に縛られてしまうようでは、
裁判員制度の趣旨そのものが形骸化する恐れもあるでしょう。

実にナイーブな問題だけに、この点については、裁判員制度がスタートする前に
(もちろんスタート後も)十分に議論する必要があるだろうと思われます。


また、評議を進めていく際に、議長役となる裁判官の役割が重要だというのを
私は強く感じました。

素人にありがちな“脱線した話”を、いかに早急に(かつさり気なく)食い止め、
本道へと導くかの手腕が求められると思うのです。
幸いにも今回の模擬評議では、ある検事から
「予想していたよりも話が脱線せず、素晴らしかったです」
というお褒めの言葉をいただきましたが、実際の裁判員制度が始まったら、
話が脱線して論点がずれていくことも多いと思われます。
もちろん、このような評議の場に慣れていない一般人が意見するのだから、
裁判官の評議運営手腕次第で、評議をスムーズに進めることができるかどうかが
決まるのではないかと思いました。

国民が司法に参加できる「裁判員制度」の実施に踏みきったことは、
日本の司法が一歩高度なレベルに足を踏み入れた証拠だと、私は評価したいです。

たとえ完璧はムリだとしても、一般人が参加することにより、間違いなく司法は活性化し、
長い目で見れば、判決の精度にも磨きがかかると思いたいのです。

皆さんも、機会があったらぜひ「模擬評議」に参加してみてください。
実際に裁判員を体験することで、いろいろなことが見えてくると思います。



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